写真家の大和田良さんとアスカネットのコラボレーション。夢のマイブック。

キックオフミーティング ~ Kickoff Meeting ~ 完成発表 ~ Presentation ~ 御苗場レポート~ Event Report ~
大和田さんとプロジェクトメンバーが広島にあるアスカネット本社に集合。夢のマイブック始動です!
夢のマイブックついに完成!大和田さんのポイント解説やスタッフの制作秘話をどうぞ!
今回は「御苗場vol.13関西」の様子や大和田さんのトークショーをレポートします!
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「御苗場vol.13関西」イベントレポート

大和田さんインタビュー

大和田さんインタビュー

足を踏み入れると360度写真に囲まれて・・・!

9月20日~23日に京セラドーム大阪にて開催された「御苗場vol.13関西」。200以上のブースが並び、期間中の来場者は3,000人以上と大盛況でした。

不規則に配置された各ブースは、足を踏み入れると360度写真に囲まれ、角を曲がる度に新しい写真との出逢いがある、まさに写真の迷路。メッセージ性の強い作品や心に響く作品が多数並び、出展者本人とお話ししてさらに見入ってしまったりと、どっぷり写真に漬かれるイベントでした。

マイブックブースも、たくさんの方にお立ち寄りいただきました。御苗場出展者のマイブック賞エントリー作品、初披露の「WHITE BOX」が展示され、たくさんの方に手に取ってじっくりとご覧いただくことができました。

大和田良トークショー:「 WHITE BOX 」制作秘話

イベントの様子

作品に合わせて素材、形状を選択して
作品のもつ雰囲気を形として表現した。

紙を選ぶ作業は作品を表現する上で、最も重要な作業。ページをめくる時の手触りや質感、色の出方も全く異なる。最初に色々な紙・加工の違いの印刷物を用意し、どの写真にどれが合うか7つのシリーズに合わせてそれぞれ紙と加工方法を選択した。
次に大きさ。豪華な写真集というと、書店には大きなサイズもあるがアスカネットの技術とのコラボとしては、何か違う。今回は「一つのオブジェ・作品として形がきれいに見えるもの」にしたいと思い180mm正方形のサイズを選んだ。
全体像が見えてきたところで、ブックを収めるケースについて考える。ケースは今回重要なポイントで、7冊をどうまとめるかはケースにかかっていた。構想段階で既に僕はどうしても透明のアクリルのケースにしたかった。 理由はいくつかあるが、一つはアクリルは作品展示において身近な素材であること。アクリルに入っていることでイメージとして額装されている状態にしたかった。もう一つは紙と作品とのマッチングをケースにセットされた状態でも見せること。それにより僕のイメージする作品として成り立つと考えた。

完成品を見て、初めて発見したことも

ここまでは想像できていたけれど、完成してみて一番驚いたのは、アクリルケースのつなぎ目の面白さ。手に取ってケースを動かしてみると、その場のいろんな光を受けて、つなぎ目の部分がきらきらと輝く。これがこの作品のクオリティーや存在感をしっかりと支える要素の一つになった。

「WHITE BOX」と名付けた理由は・・・

今回の写真集に対して考えたのは表紙の装丁の部分。表紙に1枚写真を入れて見せる、タイトルを入れるなど、いろんな方法を考えたが、今回は一つの作品としての存在感、立体感を出来るだけシンプルに見せたいと思い、白い装丁を選んだ。白一色でも異なる素材の組み合わせできらきらと美しい、ソリッドでシンプルな質感になっている。一見、真っ白なモノになり、これが「WHITE BOX」と名付けた理由になっている。

すべてがオリジナル

最後に作品全体の表紙になるカバーについて。最初はこれが無く、お話した通りの真っ白な状態だった。何か花を持たせたいと思い、 このプロダクトの表紙になるカバーを入れることにした。限定の10セットは全て違うカバーで、僕が「Wine Collection」から選んだカットやシンプルな花など10枚選び、一つ一つにサインとリミテッドエディションを入れて作品として仕上げた。この全てを「WHITE BOX」と名付け、プロダクトが完成した。

「夢のマイブック」プロジェクトや「WHITE BOX」についてお話された大和田さんのトークショー。気になるレイアウトについての秘話も!?完全レポートします!

オリジナル仕様で作っていく「夢のマイブック」・・・ どんなものを作るか?

この話が最初に来たのは春。「アスカネットとコラボしてオリジナル仕様の写真集を作らないか」と。写真集作りはいろんな面白さがある。すぐに引き受けた。
まず、広島の工場を見学して「どのように作っているか・何が実現可能なのか」を話し合った。一つ一つが手作りで作られる工程を見て、これまで出版した写真集とは異なるもの、一個体としての存在感、オーラのある「作品」を作ろうと決めた。それが出発点だった。

全てのエッセンスがぎゅっと詰まった、凝縮されたものを作りたい。これまでの作品―初期の「World of ROUND」「SOURCE」「untitled 1」「untitled 2」、そして最近の作品「Wine Collection」や「Banknotes」「FORM」の計7つのシリーズをまとめようと決めた。

装飾用

第三者とレイアウトを作る面白さ

写真集を作るときの写真作品のセレクトは、僕は基本的に2つの方法でやっている。一つは「構成を全て自分で行う」方法。その後デザイナーや編集者と話し合ってセレクトやデザインに修正を加えていく。もう一つは「写真を素材として全てデザイナー・編集者へ渡して、セレクト・構成を作ってもらう」方法。これは適当に投げているのではなく、自分では見えてこない写真作品の面白さが見えてくる可能性があり、わくわくする作業だ。今回は「Wine Collection」のように構成を崩せないものは自分で行ったが、それ以外は素材として写真を多めに渡してセレクトされたものをベースに話し合って作りあげた。この7冊の中には僕自身のコンセプトが詰まっているが、第三者の手が入ることで、僕だけでは伝えきれなかったモノも写真集の中に詰め込まれて仕上がってきた。

イベントの様子

購入者の声
レアな作品もあり、何度も見て学びたい
「WHITE BOX」を購入された一人、石井陽子さんにインタビューしました。

大和田さんの作品にはいろいろがありますが、特に「untitled」のようなスナップが好きです。
スナップの作品は「prism」以外に写真集で出版されていないので、この「WHITE BOX」を手元に置いて見返したいので購入しました。
スナップで何気ないところでも作品になるところが、とても好きです。
大和田先生なら、どんなシーンでも”写真”になるという魔法を感じます。
きれいに飾るというより、何度でも見て学びたいです。

―大和田さんの作品から、たくさんのことを学ぼうとされる姿勢がとても印象的でした。

イベントの様子
装飾用

大和田良トークショー:大和田良×マイブックスタッフ対談

このプロジェクトのリーダーとして全体の進行・管理を行っていたアスカネット吉見と大和田さんの対談スタート!

大和田さん---アスカネットの担当者に少しお話を聞いてみましょう。今回の「WHITE BOX」特にどういうところが苦労した・大変だったかを、僕自身も知りたいと思います。

スタッフ吉見---7冊をまたぐ背表紙のサインに最も苦労しました。中身の本文は、7タイトルそれぞれが異なる紙・加工で厚みが違うために背幅が違います。サインがずれることなく、ぴったり並んで見えるようにするため、背に入る厚紙を少しずつ削って調整しました。本と本の隙間が埋まって、きれいに見えるようになった!…と思ったら…今度はケースに本が入らなくなったり、調整していると、またサインがずれたり…そういった試作を何度も繰り返してようやく出来上がりました。作品をご覧になる際には、ぜひその部分にもご注目ください。

大和田さん---紙や印刷についてはいかがでしたか?

スタッフ吉見---この組み合わせの中には、今までに挑戦したことがないものもあり、印刷機が詰まったり、時間が経つと紙が波打ってしまうこともあり、 その調整は大変でした。

大和田さん---最後に出来上がったものにはサンプルの段階では揃っていなかった部分、例えば「表紙を天から見たときのカバーの端をちゃんと揃えたい」という職人肌のアドバイスもあったり。そのあたりは、皆さんで試作した上で意見が出たりしたのですか?また、どのくらい試作を重ねましたか?

スタッフ吉見---今となってはどれくらい試作したかわかりませんが、1冊だけではわからない部分が多くあり、1セット試作しては仕様の見直しと微調整を繰り返しました。
先ほど指摘された紙の切替部分も、カバーの端を一直線に揃えることを目指すと少しのずれでも目立つので慎重に作っていきました。

大和田さん---作り手として考える、一つのプロダクトとしての「WHITE BOX」の面白さ・魅力とは?

スタッフ吉見---いろんな角度から見て美しい作品になったことが大きなポイントです。これまで、こういった仕様を作ったこともアイディアも無かったので、始めのうちはゴールが見えずに不安がありました。でも、作っていくうちにすごいものが出来上がっていることに気付いて完成度を高めようというこだわりが出てきました。完成時は自分たちで作ったものとはいえ、みんなで感動してしまいました。


大和田さんインタビュー大和田さんインタビュー

大和田良トークショー:ギャラリー質問タイム

ギャラリーの皆さんからの質問タイムでは、誰もが悩むフォトブックのレイアウトについての疑問が集中しました。

「編集を人に委ねる」という話があったが、 一番委ねた部分が大きかったのは7冊のうち、どれ?

大和田さん---「untitled」の2冊は写真を多めに渡してアスカネットに構成してもらいました。どのように構成しましたか?

スタッフ吉見---まず大きくプリントして並べてみて、色味や被写体などで分類しました。その中からインスピレーションで、これは最初に見せたい、これはクライマックスに、期待感を高めるにはどの作品を並べるべきか?などを考えてレイアウトを作っていきました。そうして出来上がったものを実物大でプリントし本のようにめくってみて修正を加えていきました。

大和田さん---僕がレイアウトを組むのとは少し違ったものになるし、同じ写真を使っても、語り手が違うものになり同じストーリーでも内容の抑揚や結末も違うかもしれない。「prism」に入っている写真もあるが、作品を見る人には全く違うストーリーに感じられるものとなった。そういった違いが編集によって出てくるのは面白いこと。特にこの2冊はスナップを中心に構成されているので、第三者の手が入っているものはより力強いものになっています。

第三者にレイアウトを任せるとき、文句を言いたくなることはありますか?

大和田さん---言うときは言う。文句というか、批評や「なぜこうしたのか」を話し合ったり聞いてみたりする。写真の繋がりや、もっといい組み合わせがあると思えばそれを伝える。最も重要なのは、話し合いのベースを自分以外の誰かが作ること。それによって話し合う内容が違ってくる。自分が作ったスタートではない地点から始めるという、予想外の面白さ。投げっぱなしというよりは「じゃ、そこをスタートにしよう」という思いが強いので、その違いを楽しんでいます。


大和田さんインタビュー

大和田さんインタビュー

大和田さんによる7タイトルのフォトブック紹介

World of ROUND

World of ROUND

僕のデビュー作で、今から10年以上前、新宿コニカミノルタで初めての個展をやったときのシリーズ。 全て万華鏡のような作品。ちなみに初の写真集「prism」は「World of ROUND」と「SOURCE」、「untitled」のミックス。

SOURCE

SOURCE

新宿ニコンサロンで発表した。当時はデジカメの性能が低く、大きな作品を作るためにフラットヘッドでスキャンする手法を用いた。記憶の片隅にあるような、子どもの頃から好きだったものを被写体にしている。ほとんど個展でしか出していないものも入っている。

FORM

FORM

盆栽をテーマにした作品。出版した写真集もあるので、構成がどう違うか、見比べても面白い。

untitled 1

untitled 1

全てフィルムで撮影したスナップ。カメラは時代によって使い分けているが、シノゴか中判のどちらか。正方形のものはハッセルブラッドなど。20代の前半は旅が好きで、ヨーロッパやアメリカや、その頃撮った写真が多い。最近撮った写真も入っている。

untitled 2

untitled 2

「untitled 1」と同じスナップ。こちらはデジタルで撮影した比較的最近のものが入っている。フィルムと比べてデジタルは撮り方が少し変わっていて、話すと2時間くらいかかるが、簡単に言うと、こちらはシャープな撮影をしている。

Banknotes

Banknotes

現在は使われていない様々な国の紙幣を透かして撮ったもの。裏と表が透けて見えることで、どんな絵がその中に見えてくるかを撮影した作品。

Wine Collection

Wine Collection

様々なワインの”色”だけをコレクションしたもの。コレクターの方々がどういうワインを持っているかを集めた。そういう色の集積としてどういった記録が生まれるかを追求した作品。

装飾用

PHaT PHOTO編集長 速水惟広さんより

大和田良の「ビジョン」とアスカネットの「技術」。この2つを掛け合わせたら、どんな物が生まれるのか?
それが「夢のMyBook」のスタートです。その結果生まれたのがこの「WHITE BOX」でした。

「WHITE BOX」はただの写真集ではありません。写真集という形態をとった「作品」です。
そこには、写真家大和田良の考える“ミニマルな美意識”が「物」としての存在に凝縮されています。
コラボレーションが成功する為には、掛け合わせる要因が同レベルである事が求められます。
それが成功したか否かは実際の作品を手に取り、様々な角度から眺めたとき、明確に体感する事が出来るはずです。
大和田良のビジョンと、それを見事に具現化させた職人たちの細部に至るまでのこだわりに感動すら覚えるほどに。

唯一、欠点を述べるとすれば、この作品が世界に10点しか存在しないという事。
裏を返せば、これを手にし、更に所有出来た人は、完成されたプロダクトだけでなく、その物語の一部に触れるという贅沢な経験を手にされたことになります。

このプロジェクトに関われた事を幸せに思っています。

PHaT PHOTO編集長  速水惟広さん
装飾用
夢のMyBookとは?
写真家の大和田良さんと、アスカネットが誇る技術力のコラボレーションで、マイブックのラインナップにはない、
完全オリジナル仕様の作品集を作っていくスペシャルな企画です。
2013年9月20日~23日開催の写真イベント「御苗場vol.13関西」で、夢のマイブックを発表します!
大和田良さんによるトークショーも!完成した夢のマイブックの展示はもちろん、10冊限定で販売する予定です。

御苗場とは?

通算13回目となる日本最大級の写真イベント。「御苗場」とは"自分の未来に苗を植える場所"。出展することそのものが価値となり、自信となり、夢を実現できる場所を創りたい。楽しむだけでもなく、競うものでもなく、夢へ挑戦した全ての写真ファンの勇気を称えたい。そんな思いから、ひとりひとりが輝く場所となることを目指しています。

御苗場vol.13関西( 主催:株式会社シー・エム・エス / 御苗場vol.13関西事務局)
開催日程:2013年9月20日(金)~9月23日(月・祝)  会場:京セラドーム大阪 スカイホール
http://www.onaeba.com/

大和田良

大和田 良 Ryo Ohwada

1978年仙台市生まれ。東京工芸大学芸術学部写真学科卒業、同大学院メディアアート専攻修了。
2005年スイスエリゼ美術館による「ReGeneration.50 Photographers of Tomorrow」に選出され以降国内外で作品を発表する。
著書に『prism』(青幻舎)、『ノーツ オン フォトグラフィー』(リブロアルテ)、『FORM』(深水社)、『伝わる、写真。』(マイナビ)等。2011年日本写真協会新人賞受賞。
http://www.ryoohwada.com

MyBookとは? 「MyBook Editor」ダウンロード MyBookの種類と価格
MyBookは誰でも、1冊から、簡単に作成できるサービスです。しかも出来上がりは、世界のフォトグラファーが認めるクオリティー。
思い通りの写真集が、簡単に楽しく作れる編集ソフト「MyBook Editor」は、無料でお試しいただけます。
「MyBook」のフォトブックは、サイズやページ数、ハード・ソフトカバーなどから、自分好みの1冊が選べます。
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キックオフミーティング ~ Kickoff Meeting ~ 完成発表 ~ Presentation ~ 御苗場レポート~ Event Report ~
大和田さんとプロジェクトメンバーが広島にあるアスカネット本社に集合。夢のマイブック始動です!
夢のマイブックついに完成!大和田さんのポイント解説やスタッフの制作秘話をどうぞ!
今回は「御苗場vol.13関西」の様子をレポートします!大和田さんのトークショーでは「WHITE BOX」誕生秘話も!
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